せんせいの優しさ
千葉キャンパス
みなさんは「先生」という職業にどのような印象を持っているだろうか。私はあまりよい印象を持っているわけではなかった。
なぜ、なかったと過去形なのか。それは高等学校での出会いがきっかけだった。
そのせんせい(平仮名のほうが彼にはお似合いだと思った)の第一印象は最悪であった。私を見るとこちらが恥ずかしくなるほど大袈裟に名前を呼ぶ。話し方も明るく疲れてしまう。そのため、苦手な人だと判断したのだ。
それは間違いだった。ある日、私の些細なこだわりを尊重していることを知った。ある日、電車が二時間遅延した私に授業を用意してくれた。ある日、私をとても信頼していたのだと気付いた。彼が退職する、ほんの少し前にようやくわかったのだ。
せんせいは紛れもなく私を見ていた。それが嬉しく、心の奥底に大切にしまわれている。
私は誰かの優しさを素直に受け止める大人になりたい。私が誰かに優しくなるためにも。